仕事力を鍛えなおすためたどり着いた意外な手法。そして生れた理想の福利厚生。
株式会社大東は東京都大田区と神奈川県横浜市で建物改修工事の企画施工業を続ける企業である。専務取締役の岸野宏泰氏は創業以前からの相棒。伝統と古い慣習が残る業界では珍しいほど、若手が夢を育める企業だという評判を聞いて、社長の森田浩幸氏を訪ねた。
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――建物の改修工事業をされているそうですね。
- 森田
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平成20年の創業以来、防水改修をはじめとして、小規模のものから大規模のものまで、建物の改修工事をさせていただいています。
特に、建物の寿命をより長く、中の空間をより快適にする改修を提供してきたと自負しています。
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――今日は企業の福利厚生についてお聞きします。以前に「自分は軽自動車でいいから社員には高級車に乗らせてあげたい」というご発言をされていたようですが?
- 森田
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はい。今も考えは同じです。一生変わらないんじゃないかと思っています。
会社としてはどんどん成長していますが、自分のその辺りの成長は、ほとんど見込めません(笑)
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――他にも、バーベキュー、鍋パーティーのような社内行事に積極的なようですね?
- 森田
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いわゆる合コンです。社員を鍛えなおすために始めました。特に若手です。
どうしたら仕事で壁に当たったときに弱音を吐かないようになるかな、と考えて、「そうだ、彼女を持たせよう」と。彼女でもお嫁さんでも、守るべきものができると、男はやはり強くなりますから。私ももういい歳なので参加してくれる若い女の子を集めるのが大変ですが、下請けの社長さんの奥さんのお友達まで頼って、話を広めていただいています。
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――それはつまり、経営者から仕掛けて社員のプライベートを充実させるアプローチがあってもいいだろう、と。
- 森田
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そういうことです。彼女をつくって結婚して、家族を持って、仕事のことしか考えない男に、早くなってくれればなと。
男は仕事が一番面白いですからね。それで会社の業績も伸びるならそれこそ、企業にとって理想の福利厚生でしょう。
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――入社してくれそうな若手を森田代表に引き合わせるのは岸野専務の役目だそうですね?
- 岸野
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森田に会わせたらみんなが「すごい」と言います。様々な境遇を経験してきた子などは、心のどこかで相手を疑いながら話を聞く癖がついていたりするものですが、「あの人の話は全部本当だ。すごい」と。
森田が常日頃から社員のことを考えていることが、初めて会って話をした瞬間から伝わるようです。自分の将来に希望を持てなくなっている子も、ここで働くうちに、目つき顔つきから変わっていきます。
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――岸野専務の話を受けて、森田代表のお考えは?
- 森田
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私は他社の社長さまのように立派なところがないので、本音で接するしかない。それだけです。自分が偉くなろうなどと思わない。
会社のことも、自分だけで儲けようとは思わない。自分の給料も全部見せています。ただ願うのは、皆と楽しく働きたいということと、熱く働きたい。これだけです。
あと少し欲を言えば、若手がもっと夢を持てるように業界全体が変わっていけばいいですけど、ね。