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Interview

若者ががんばれない環境に間違いなく未来はない。若手を育てる高い意識とは。

「不動産に強いファイナンシャルプランナー」として圧倒的な人気を誇るセミナー講師兼オーガナイザーである佐藤毅史氏。逆境を跳ね返しつつ不動産管理業で培った独自の視点で、お金にまつわる諸問題への解決方法を提起している。多くの人が「知りたい」と列をなす佐藤流のビジネス哲学・社員教育哲学を聞いた。

――そもそもファイナンシャルプランナー(FP)になった経緯は?

佐藤

高校時代にさかのぼるのですが、当時の私は実にひねくれていまして(笑) 勉強できない人に価値はないというようなことを平然と思い込んでいたのです。

だからとにかく勉強に打ち込んでいました。でも大学受験前にノイローゼになってしまい、結果志望校は全滅。勉強一筋だったのが大学に進めないという、当時としては受け入れがたい挫折を経験しました。

でも実はそれはプラスに働いていて、「学歴がないぶん資格をとろう」という発想に繋がり、FPの資格を自分なりに生かした仕事をしようと考えるようになったのです。

――FPとして他社との差別化はどの程度意識しましたか?

佐藤

国内のFP人口を見ますと、有資格者だけで30万人程度います。自分の生活設計や知識向上のために取得する人もいますから、そのうち仕事としてやっている人の割合は限られていますが。

でもライバルを見渡して考えたとき、私はFPとして2つの自分像を持とうと思ったのです。ひとつは年齢を活かすこと。

どの業種でも経営層は年配が多いですからね。若さは武器になり得たのです。もうひとつは不動産を取り入れることでした。

――不動産とFPはどのように結びついたのですか?

佐藤

FPの勉強には保険、金融、税金などの分野のほか、実は不動産というジャンルもあるんです。でも意外とやっている人は少なくて。

ビルメンテナンスをしながらオーナーのお金を管理するようなモデルを構築している人は日本で誰もいなかったのです。起業前にビル管理の会社にいたとき、はたとそこに気付きました。

――そのモデルのメリットはどのようなものですか?

佐藤

例えば、ビルオーナーが直に管理していると、ビル入居者からしょっちゅう電話がかかってくるしクレームだって来る。それをその都度仲介してあげると、彼らの負荷を請け負うことになるわけです。私が大事にしているのは、水をあげて出てきた芽を刈り取り、ご飯を食べていくという“仕組み”を構築すること。

このことによって、オーナーの負担を軽減すると同時にFPによって資産管理もできる。必然的にお付き合いも長くなり、安定もするわけです。そしてそのマネジメントや思考をセミナーにも活かせるわけです。

――その流れを若い世代に継いでほしいという思いはどれだけありますか?

佐藤

これはかなり強いですね。私がお客様に育てていただいたように、私も自分の責任のもとで若い世代を育てなければと考えています。でもそれなりのリスクは伴いますよ。

たとえばセミナーならば、お客様に仕事に役立つコラムとしてのトピックを提供しなくてはなりませんが、経験が浅いと情報が深くなりにくかったり、しゃべっている内容がグダグダになってしまったりもします。

セミナー研修の単価は低くはないので、そこはしっかりと哲学や技術を叩きこんでいます。ただ、彼らが自分の力で成功し始めたら、セミナー収益がそのまま彼らの収益になり、彼らも人生の選択肢を増やすことができる。

すなわち、仕事にも高い意欲で向かえるはずです。

――それが御社の福利厚生の考えにもつながっているのでしょうか?

佐藤

そうです。福利厚生には、昇級昇格や休暇制度、住宅ローンに安く加入できるなどの金銭的補助など、形になるものが多くありますよね。でもそれだけを比較しても、どんぐりの背比べになるだけ。

私は、社員が社会に何をどれだけ求められているのかをわかりやすく「やりがい」にして、当社だけでなく広くどこでも使える高いスキルを社員たちにもたらしたい。自信や経験を重ねさせる場として、当社の業務を使っているとも言えるでしょうね。

今後はビルマネジメント、セミナーという軸を変えることなく、新たなニーズが必要であれば積極的にチャレンジをする姿勢を見せた佐藤氏。常に顧客と社員のことを考えて業務に取り組むその姿勢を見て育つ世代が、FPという業種のすそ野をさらに広げてくれそうだ。